静かな病室に人工呼吸器と心電図の音だけが響く。




あれからどれくらいの時間が経ったのか分からない。




救急車で病院に運ばれた香奈子はそのまま手術室に向かった。




静寂の中ただただ香奈子の無事だけを願った。




しばらくして手術中のランプが消え、険しい表情を浮かべた医者が出てきた。




医者は確かに言った。




香奈子は無事だと。




まだ意識を取り戻していないだけで死んではいないと。




香奈子自身が生きたいと思えば意識を取り戻してくれると。




俺は香奈子を信じている。




だからこそ、包帯でぐるぐる巻きの痛々しい香奈子から目をそらさずに見つめる。




香奈子が生きたいと思ってくれることを祈りながら。




まだ香奈子と話さなきゃいけないことがある。




どうして急に冷たくなったのかを俺は聞いていない。




なにか気に触ることでもしたのだろうか?




それとももう俺のことを好きじゃなくなったのだろうか?




もしそうならあの家から出ていかない理由が分からない。




俺は最近の香奈子が分からない。