「ところで、俺、忘れ物取りに帰って来ただけだから、
これからライブ会場に戻んなきゃいけないから……」
 「そうなんですね……」とキヌコさんが呟いた。
 「ね~、キヌコさん俺のこと知らないの? 
 顔よく見てよ」
 
 キヌコさんは東田の顔を見ると驚いた。
 「もしかして……今頃気づいたの?」
 「あなた……RAINの悠(はる)」と呟いた。
 東田とは、彼女の親友激推しのボーイズグループ『RAIN』のメンバー悠の本名だった。
 
 声が出せず、激しく動揺するキヌコさんに東田が
近づくと、
「キヌコさん、美味しいご飯と掃除、
 これからもよろしくね……」
 と呟くと優しく微笑んだのであった。

~ 完 ~