まず黒いウィッグをつけて、おさげにする。

真っ黒なカラーコンタクトをつけて、大きなメガネをつけた。

私はこのメガネがないと男の子とも喋れない。


お守りのようなものなんだっ。


「梨乃〜!準備はできたの?」

下からお母さんの声が聞こえた。

「うんっ!今行くね!」

階段を降りて、お母さんにぎゅっと抱きつく。

「お母さん......っ。私、頑張るからね」


実は私のお父さんは私が幼い頃に亡くなってしまって、母子家庭だった。

女手ひとつでここまで私を育ててくれたお母さんには......すごく感謝をしている。


同時に、申し訳ない気持ちにもなる。

私が男の子が苦手というのがあって、すごく心配をかけているんだ。

私が、しっかり、克服しないと。



そう、決意を固めたのであった。