「あの、誰ですか？」
「……？何を言っているの。あなたが呼んだんでしょう」


ハスキーな声でそう言うと、自分が描いた絵を指差す。

女の人差し指にはめられた【薄緑色の指輪】が、キラリと光った。


「私は、あなたに呼ばれてここへ来た。それで、用件は何？」


なるほど、と頷く。


目の前にいるこの女は、儀式によって呼び出された異世界への案内人。

儀式は成功だ。


おれは目を輝かせ、彼女に近づいた。


「お、おれを異世界に連れて行ってください！」


本に書かれていたことと少し内容は違っているが、そんなことどうでもいい。

このチャンスを逃すまいと、必死になって女に願いを伝えた。


「おれ、異世界に行きたいんです！」
「それがあなたの願い？」
「はい！」
「わかった。でも、一つ条件がある」
「なんですか？」
「あなたに、ゲームをしてもらう。そのゲームにクリアできたら、あなたの願いを叶えてあげる」


ゲームのことも本には書かれていなかったが、そんなことどうでもいい。


「やります！やらせてください！クリアしたら、異世界に連れて行ってくれるんですよね！？」
「ええ。ゲームをクリアしたら必ず、あなたが望む場所へ連れて行ってあげる」