「……よし。これで完成だ」


おれ松岡(まつおか)悠真(ゆうま)は、手に持っていた木の枝を捨てた。

足元にはたった今木の枝で描き上げた、無数の鱗に覆われた蛇のような生物の絵がある。


自宅からくすねてきた一冊の本を開き、異世界の扉を開く呪文を読み上げた。

本のタイトルは『世界の魔術集(日本語翻訳付き)』。

この本に書かれているすべてが、現実で叶うものだと信じて疑わなかった。


おれは今、アニメやゲームの世界で活躍する転生系ヒーローに生まれ変わろうとしている。