これは、私がはじめての恋を一途に想い続けた5年間の話。

 「あの人だ。」
 
  そう直感したのは、小学校4年の頃。
  周りのみんなが恋に目覚めてきていて毎日のように誰かの“恋バナ”で盛り上がっていた。
  でも私は恋にはさっぱり興味がなく、どこに耳を向けても聞こえてくる誰かと誰かの話にうんざりしていたし、私に話しかけてくる女の子の友達の恋バナは右から左へと抜けていくのを隠しながら、すごいね!かっこいいね!と話を合わせていた。
  ある日、いつものように近所の葵ちゃんと登校して教室に入ったところでクラスの中心的存在でいつも明るくて優しい柚杏ちゃんが元気に話しかけてきた。
  「ねぇ!!しってる!?クラスの将斗くんが莉乃ちゃんのことすきなんだって!!!すごいよね!」
 将斗くんはクラスの中で1番人気の男子グループにいつもいて、サッカーが得意だった。
 でも、それくらいしかしらない。私はそんなに仲良く話した記憶もない。
 「そうなんだ。でも私なんかのどこが好きなの?絶対誰かの間違いだよー!」
 どうして急に?そんな気持ちでいっぱいだった。
その日、家に帰ってから彼を思い浮かべてみた。