「お父様…その顔を見ると心あたりあるようね…」

「・・・圭人とお前が誕生する前の話だ…」

「そうかしら?お父様は今でもお母様に冷たいでしょ?」

璃友の言葉が容赦なく俺の心の中に入って来た。

俺は嘆息した。
「そうだな…俺は今でも麻友の優しさに甘えているよ…彼女は心の広い女性だから…」


「・・・」

「教えてくれて、ありがとう…璃友…」
「!?」
「璃友の為にもちゃんと麻友と話をする」

「お父様はお母様の事どう思ってるの?」

「・・・娘のお前には恥ずかしくて言えるか…」
「愛してるのね…」

娘にそう言われ、久しぶりに頬に熱が集まった。
「愛していなきゃ、子供なんて作れないよね…」

「その話は終わりだ…お父さんは忙しいんだ…」


俺はテーブルに広げた離婚届の用紙を奪った。

「どんな結果になっても…私は二人の娘よ…」