俺たちの元にワゴンを押したソムリエが来た。

ワゴンにはオーダーしたワインボトルと花束が載っている。

「この向日葵は?」

俺は椅子から腰を上げて、ソムリエから花束を受け取った。


十一本の向日葵だけの花束。


十一本の向日葵の花言葉は『最愛』


―――素直に自分の気持ちを今でも伝えるのは苦手だから…


この十一本の向日葵に俺の気持ちを託した。


「麻友…二十五年間…ありがとう…」

俺は麻友に花束を渡した。


「これからもよろしく…」

「こちらこそよろしくお願いします…蓮人さん」


花束を受け取った妻は涙ぐんでいた。


                   (完)