「心配しなくても、僕は無害なだけが取り柄ですから」

可笑しそうに言われてしまった。

「うーん…じゃあ、家の修繕が終わるまで、間借りしてもいいですか?家賃はちゃんと払いますので」

「要りませんよ。下手に賃貸契約結ぶと、却ってトラブルになりそうだし、ボランティアのつもりです」

タダほど高いものはないような気がするのは、50万払ってお化け屋敷を抱えるはめになったせいだろうか。

しかし、目の前の彼は、どうしても悪い人に見えないし、あんなにも優しい音楽を生み出す人なのだ。

色々あったが、あと少しだけ、人を信じてみたい。

「では…お願い致します」