「あーあ…こんな僻地のお化け屋敷、タダでも貰い手は見つからないですよね…固定資産税だけでなく、修繕費もかかるし」

「そうだと思いますよ。他にも民家はありますけど、全部空き家ですし」

やっぱり…。

「よかったら、うちで同居します?」

いきなり何を言い出すのか、このオノコは。

「二階、家族が泊まりに来た時の為に、家具は揃えてあるんですけど、場所が場所なので、最近はもう来ないんですよね」

「そんな、いいですよ。仙台市内のホテルにでも泊まりますから…」

「ホテル暮らしなんて、ずっとは無理でしょう?」

それもそうだ。

あんなに一生懸命貯金したのに、ホテル暮らしをしていたら、あっという間にお金が消えてしまうだろう。

しかも、仕事といったら家庭教師しか経験がないも同然なので、今から会社員になんてなれないだろうし、そもそも会社員が向いていないから家庭教師になったのだ。