「なーんだ。でも、かなり珍しいですよね、同姓同名なんて」

もしかして、仙台に多い名前なのだろうか。

「僕は、秋月です。秋月浩」

「あら、作曲家の先生と同じ名前だ」

「ご存知でしたか?」

彼は、パァッと嬉しそうな笑みを浮かべて言う。

「え?ホントに作曲家の秋月さんなの!?」

何を隠そう、ここへ来る途中で聞いていたヒーリングミュージックの作曲家が、秋月浩だったのだ。

特に、ストレス解消シリーズや安眠シリーズが人気で、ストレスを抱えた人たちのカリスマ的存在とも言える。

何処となく浮世離れしていて、優しい雰囲気なのは、ヒーリングミュージックの作曲家だったからなのか。

「でも、作曲家の先生が、どうしてこんな僻地に?」

うっかり、僻地と言ってしまった。