「踏んだり蹴ったりだわねぇ…。気の毒に」

伯母は同情しつつも、

「でも、なんで結婚しないの?やっぱり同性が好きなの?」

相変わらず、不躾に踏み込んでくる。

「違うはずだけど。まぁ、強いて言うなら…おばあちゃんとの約束を守ってたら、この歳になっちゃったって感じかな」

「母さんとの約束?何よ、それ」

「妥協で結婚するのだけは絶対に駄目だって言われたことがあるの。まだ中学生にもならない頃だったかな。おばあちゃん、本当に好きな人と一緒になれなかったこと、ずっと悔やんでいたみたいだから」

すると、伯母も母も、少し怪訝そうに、

「おかしいわね…。母さんって、女学校を出てすぐに見合い結婚してるし、私たちにも、社会人になるまでは恋愛なんて許さないような厳格な人だったのに」