───報告───
マーベスさんの元へ帰還した俺は魔王城で見た事聞いた事をありのまま伝えた。



「ふむ…」



「マーベスさん、所で…俺は試験どうなりました?」



「ありゃ?伝えてなかったか?」



「はい」



「すまんすまん、合格だ」



「あ、ありがとうございます!」



伝えてなかったって事はまさかずっと前から結果は決まってたって事か?と一瞬頭を過ったが面倒だと思ったので黙っておくことにした。



「まぁ、今は魔王の事でこちらも手一杯でな…合否を伝え忘れてた事を許してくれ」



「はい…」



どう返せばいいのか分からないこういう事態に対する対応力が欲しいと思いながら俺は苦笑いでその場を凌ぐのだった。



マーベスさんからの報告をゆぴぴに伝えるべく俺はゆぴぴの居る宿へ足を運んだ。



「フウタ!」



宿の前に着くと宿の前で手を激しく振っているゆぴぴが居た。



「ゆぴぴ!」



「どうだった?」



俺の胸に抱き付き上目遣いで聞いてくる。



「受かったてたよ」



「やった…やったー!おめでとーっフウタ!」



俺の腕の中でぴょんぴょんとゆぴぴが跳ねる。



ずっと前から思っていたがゆぴぴは妙に馴れ馴れしいと感じる時があるまぁ、俺は現実の世界ではモテないモブ男なので若い子の間ではこの距離感は普通なのかも知れないが…



それに…



「おーい、フウタ?」



「ん?」



「ボーッとしてどうしたの?体調悪い?」



「いや、何でもないよ」



「本当に?」



こうやって俺を心配してくれる人は現実世界には居ないし可愛いと感じるし愛しくもある。



「うん。本当に」



「…!」



思わず抱き返しながら俺達は宿の前でしばらくカップルかのような時間を過ごした。