───偵察───
そっか…それじゃあ仕方ないね!」



「ゆぴぴ…俺頑張って来るから」



「うん!頑張ってね」



ゆぴぴにマーベスさんとの約束を話すとガッカリされたがすぐに応援された。



「あぁ、試験が終わったらまたモンスター狩り付き合ってくれ」



「勿論だよ!」



「じゃ、いってくる」



「いってらっしゃい」



深夜2時俺は魔王城に向かうべくいつも贔屓にしている宿を出た。



しばらく夜空の下をせっせと歩き遂に魔王城が見えて来た。



「よーし、張り込み開始だ!」




小声で自分に喝を入れて俺は魔王城に忍び込むべくマンホールこの世界では通じないかも知れないが──を開けて俺は魔王城の屋根裏へと侵入した。



魔王の偵察じゃなく魔王城の偵察って事だからパッと見の城内の雰囲気で大丈夫だろうと呑気な事を思いながら様子を確認した。



「……!」



だが俺の予想とは裏腹に城内は深刻な事態となっていた。




禍々しい紫色の水晶を手にし、



「くひひっ我の力が陽の光を浴びる日も近いぞー!」



と高笑いをしながら魔王は嬉々としながら手下に指示を出す。



「おい!今すぐ我の食事を用意しろ!」



「はい!」



あの水晶玉は何だ?



"我の力が陽の光を浴びる日も近い"とはどういう意味なのか…気になる事が沢山出て来たがここで予期せぬ事態となった。




「隊長!」



「どうした?」



「街の広場にて第一軍隊が攻撃を受けまして」



「どうせ村のガキが悪戯で攻撃をしているだけだろう」



部下が攻撃されていると報告を受けているのに隊長は冷たい態度だ。



「ですが…怪我をした者も居りまして」



「それで手当てでもして貰おう言うのか?」



「…っ」



「たかが捨て駒だ実力は知れてるお前は任務に戻れ」



「はい」



どうやら上の者は下の者を貶めることで優位になった気で居るのだろう。



下の者が何時も不満を抱えているのだろうということは想像に難くない。



だが、そこからは何の動きも無くただ魔王が飲んで、食って、寝て……で撤収の時間が来た。