───親切な女の子の職業───
その後俺は女の子に紹介してもらった食事処と宿に泊まり俺は一夜を過ごした。



翌朝



「おはようございます」



「おはようございます」



宿の受け付け穣に挨拶され挨拶を返すと受け付け穣は話しかけて来た。



「夜は眠れました?」



「はい、ぐっすり眠れました」



「それは良かったです」




「「……」」




お互い話題が尽きてしまったのか無言の時間が流れるがその無言の時間も長くは続かなかった。



バァンと勢いよく扉が開き昨日の女の子が俺に駆け寄って来る。



「あの…お聞きしたいことがあるのですが今大丈夫ですか?」



「はい?」



何だ?



「あの…ところで…お名前お聞きしても大丈夫ですか?」



「あぁ!名前か」



確かに俺もあの子の名前知らない



「私は…ユリーカと言います」



「ユリーカちゃん!よろしく!俺はフウタ」



「フウタさん!はいっ!よろしくお願いします!」



「あの、そろそろ宿代を頂いても?」



空気が読めるのか読めないのかよく分からないタイミングで宿の受け付け穣が話しかけて来た。



「あぁ…いくらです?」



「6000マネーです」



俺はアイテム袋を取り出し6000マネーを出した。



「ありがとうございました〜」



にっこりと満面の笑みで受け付け穣はお辞儀をする。
俺はぺこっと会釈をしユリーカと名乗る少女と宿を出た。



「あの」



「ん?」



「フウタさんご職業は何をされているのですか?」



「えっと…」



ご職業ってこのゲーム世界でってことだよな?



「ここに来たばっかりだから何も知らないんだ出来ればこの世界のこと教えてくれませんか?」



「そうだったんですね!もちろんです!それじゃあ今日はワークシークに行きましょう!」



「…う、うん」



確かにもう俺の財産は昨日の晩御飯と朝ごはんで1200マネーと宿代で6000マネーを使ってしまい今日の宿とご飯をどうするかと悩む所だった。



俺より明らかに年下なのにしっかりした子だなユリーカちゃん。



そうして俺の今日一日の予定がきまった。



しばらく歩くとユリーカちゃんは街の広場にひっそりと聳え立つ木造の小屋へと足を踏み入れた。



「いらっしゃいませー本日のご用件は?」



「職を探しに」



「かしこまりましたーご見学のコースもございますので気になるのがあったら言ってください」



「はい」



そう言うと目の前にパネルが飛んで来た。



「ぅぉっ…」



思わず小さく驚きの声をあげる。



「ここは住民達がモンスターの情報を交換し合ったり、職を探したり、内緒話やランクアップ試験に使われるんです」



「はへぇ…」



内緒話とはまた物騒なと思っているとユリーカちゃんはパネルを指差し言った。



「あ、色々ありますよ」



ユリーカちゃんはパネルを見るように俺を促した。



「あ、本当だ」



ゲーム世界ではお馴染みの勇者やヒーラーなどの定番職の中にアイドルなどの娯楽系の職業や馬車などの運転手系や空手やテイマーやヒーラーのなどの講師系などちょっとだけ現実世界寄りの職まで多種多様にある。



うわ…こんなにあるなんて思ってなかったな。



そういえばユリーカちゃんは何の職に就いてるんだろう?



「そういやユリーカちゃん」



「はい?」



「ユリーカちゃんは何の職に就いてるの?」



「…」



急に黙り込んでどうしたんだろう?もしや聞いてはいけなかったのか?



「NRCです」



「ノンプレイヤーキャラクター?」



「はい、フウタさんのような異世界からのお客様を自立出来るようにサポートする職業です」



「そっか…じゃあ俺が職を見つけたらユリーカちゃんとは別れるのか」



「はい…でも、またどこかで会えますよきっと」



「そうだね」



「はい!さ、早く職を見つけますよぉ!」



「おぅ!」