───ちょっとは強くなれたと思ってた───
マーベスさんから合格の知らせを聞いて数日後俺のステータスはCランクにアップしていた。
「あ、ランク上がった?」
ゆぴぴがステータスカードを覗き込んで来た。
「あぁ、上がったよ。ありがとうゆぴぴが試験の事教えてくれなかったら俺一生ランクアップしなかったと思う」
「大袈裟だなぁ、いつかは気付くよ」
「それでもだよありがとうゆぴぴ」
「えへへ…どういたしまして」
ゆぴぴがはにかんだ笑顔を浮かべる。
これから切り出す話題にゆぴぴは悲しそうな表情をするのかなと思いながら俺はゆぴぴに切り出す。
「それでさ、俺そろそろ旅に出ようかと思ってるんだ」
「何で?この街好きじゃない?」
「ゆぴぴと出会えた街だし優しい人も居るからこの街は好きだよ…でも、俺は旅に出て色んな街を見てみたいんだ」
「…やっぱりか…」
「?」
「最初に会った時に言ってたじゃん"いつか旅に出たい"ってだからいつかはそういう話もされるんじゃないかなって思ってたの…」
「…じゃあ」
良いのか?って聞こうとした…が、出来なかった。
それは…とても悲しそうなでも、どことなく怒っているかのような雰囲気も感じる。
「私もフウタとこの街で会えたこととっても嬉しいよ…だからこの街で何時までも一緒に居たいって思ってる…だけど、フウタが今は何よりも大切だし大好きだから私も連れて行って欲しいの」
服の裾を握りしめゆぴぴは言った。
「俺もゆぴぴについてきて欲しいと思ってたんだ」
「!」
「ゆぴぴ…俺と一緒に旅をしてくれませんか?」
「はい!喜んでっ♡」
それから数日後。俺は荷物を纏め、マーベスさんには見つからないようにと思っていたのだが、ギルドの受付嬢にマーベスさんがお呼びになっていると呼び出されこっそり遠出旅は一旦延期となった。
マーベスさんの元へ向かうと今晩魔王とお食事会に呼ばれたので護衛をして欲しいとの事だった。
やだよ面倒だと思いながら断るのも面倒だと思い渋々依頼を受ける事にした。
「はぁ…」
「フウタ…また今度、駆け落ちしよ」
「駆け落ちって…旅に出るだけだぞ」
「分かってるって〜でも、いつかは私のこと好きになってるかもじゃん?」
「…」
確かにゆぴぴは可愛いと思うし守りたいとも思うがこれは女の子だからであって決して好きだからと言う訳では無いんだが今は黙っておこう…うん。
「フウタ〜?」
「…ん?どうした?」
「黙り込んでたから。ねぇ、今は私のことどう思ってるの?」
「…なぁ、いつ行こうか?」
「はぐらかさないの!」
額を掴まれ顔を押さえられる。
「可愛いと思うそれだけだ」
俺の額を押さえつけていた手が離れる。
若干ゆぴぴの頬が赤くなった気がした。
「…っじゃあ、今度はメロメロにさせるから覚悟してね?フウタ」
「はいはい」
そして夜
「こんばんはマーベスさん」
「あぁ、来たかフウタ君。じゃあ、行こうか」
「はい」
そして俺とマーベスさんは魔王城へと向かった。
中へと通された俺達は魔王と対面する。
魔王は開口一番に口を開くと
「お待ちしておりましたぞマーベス氏」
とニヤニヤしながら言った。
「お待たせしてしまって済まなかったな、マグタス」
「いやいやこういうのには慣れてますし気にしないでも大丈夫ですぞ?」
「本当にすまなかった…許してくれ楽しい食事にしようじゃないか」
「そうですなぁ、では早速…」
そう言って魔王マグダスは両手を叩き家来を呼んだ。
「持って来てくれ」
「かしこまりました」
家来が食事を持って来る。
「所で…今日のお食事は力を入れて仕上げててなぁシェフの自信作なんだ…どうだ?美味いだろう?」
パクっと一口マーベスさんが食べる。
「ん!美味い!」
「ふふん、どうです?そこの彼も」
魔王マグダスがにこにこと俺を見る…が。
これ、怪しくないか?と鑑定技術を選択する。
すると
「んぐっ!?」
「マーベス氏!?」
「マーベスさん!」
確認するよりも先にマーベスさんは毒に引っかかった。
「マグダスさん、貴方…」
「ふっ…バレておったか…まあ良い今日のメインはこの通りだからな」
「…どうして」
「?」
「どうして仲良く出来ないんです?」
「あいつだって我の事信用してなかった…だから護衛を連れて来た仲良くなど出来る訳が無い」
「…」
ご最もだ。俺がマグダスさんの立場でもそう思ってしまうだろう。
だが…
「していい事と悪い事があるのでは?」
俺は怒りを抑えマーベスさんを抱えて帰ろうとマグダスに背を向けた。
「先に悪事を働いたのはマーベスだ俺は悪くないし正直今でも憎んでいる」
一体マグダスはマーベスさんに何を奪われたのかと気になってこれだけでも聞こうと後ろを振り返ったその時…
グッと身体が動かなくなる。
「な…」
倒れた時に上から女の子が覗き込んで来た。
「よくも…平気な顔で居られるわね…」
ギロッと睨まれるがこっちは何も知らないし身体も動かせないのでどうしようも出来ずにただ時が過ぎて行った。
「何とか言ったらどうなの?」
「リリン、そいつは喋れやしない」
「え…?」
「言ったじゃないか全身を拘置すると」
「…口は除外されるのかと思ってました。所で魔王様コイツはどうされますか?」
「そうだなぁ、地下にでもマーベスと一緒に放り込んでやれ」
「かしこまりました…!」
リリンと呼ばれた女の動きが一瞬止まり瞳孔が大きくなる。
「何故…!?」
「私の彼なんで監視は当然でしょっ!」
ゆぴぴさんサラッと怖い事を言う〜
「ぐぁっ」
「ガード」
魔王マグダスが防御の魔法を掛けるが…
「解除」
すぐさま魔法を解かれる。
ゆぴぴがリリンを押さえながら2人に麻痺の魔法を掛ける。
「ゆぴぴさん…」
「んもぅ!強いんだからちゃんとしてよー」
「ごめんってゆぴぴ」
「じゃ、帰ろうか♡」
そう言ってゆぴぴは俺に解除の魔法をマーベスさんには解毒の魔法を掛けた。
「ありがとう、そうだね」
「ありがとうゆぴぴさん」
「どういたしまして」
ゆぴぴさんマーベスさんに対してめっちゃ怒っていらっしゃる…
「フウタ…」
「うん?」
「居なくなっちゃうかと思ったじゃん…」
瞳をうるわせて二の腕にしがみつく。
「でも俺ゆぴぴのお陰で生きてるよ。だからありがとう」
「うん…っ!でも、帰ったら可愛いお洋服買ってね!」
「はいはい…分かりました」
ギルドに帰ってマーベスさんを自室に送り俺達は最寄りの宿へ寄る。
「ね、私も今日はフウタと泊まりたい」
まさか…そういう行為をするつもりじゃ…
「ゆぴぴさん、一人の方が落ち着けるよ?」
「でも今日は一緒に居たい」
「…」
とても不安な気持ちにさせたんだろうか今日はやたらくっつくし甘えん坊な気がする。
「分かった」
ぱぁっと表情が明るくなりウキウキといった感じで宿の受け付けを済ませ会計をし、部屋へとたどり着いた。
「今日は疲れたな」
俺がベッドに座ると思わず疲れが溢れた。
「そうだね。先にお風呂行く?ご飯にする?」
「お風呂に行くよゆぴぴは?」
「じゃあ私ご飯買いに行くよ何が食べたい?」
「じゃあ…グラタンで」
「分かった♡じゃ、いってくるね〜」
パタンと扉が閉まり俺も風呂に行くことにした。
しばらくしてゆぴぴも俺も風呂を済ませ2人でご飯を食べていると
「私…強くなりたい」
「いきなりどうしたの?」
「私も強くなってフウタを守りたいの」
「強くなりたいってゆぴぴはもう強いじゃん」
「魔法も武術もどっちも強くなりたいの偏ってたせいでフウタ〜守れないのは嫌だ」
「ゆぴぴ…」
「だから武術を教えて欲しいの…ダメ?」
「分かったいいよ」
「ありがとう!」
「でも」
「え?」
「俺にも魔法を教えて欲しいんだ俺もゆぴぴが居なかったら今日は危なかっただから」
「勿論だよ!」
「ありがとう」
強くなれたって思っていた。でも、自分に自惚れてただけだった。
これから強くなろうそしてゆぴぴを守ろうと誓ったのだった。
マーベスさんから合格の知らせを聞いて数日後俺のステータスはCランクにアップしていた。
「あ、ランク上がった?」
ゆぴぴがステータスカードを覗き込んで来た。
「あぁ、上がったよ。ありがとうゆぴぴが試験の事教えてくれなかったら俺一生ランクアップしなかったと思う」
「大袈裟だなぁ、いつかは気付くよ」
「それでもだよありがとうゆぴぴ」
「えへへ…どういたしまして」
ゆぴぴがはにかんだ笑顔を浮かべる。
これから切り出す話題にゆぴぴは悲しそうな表情をするのかなと思いながら俺はゆぴぴに切り出す。
「それでさ、俺そろそろ旅に出ようかと思ってるんだ」
「何で?この街好きじゃない?」
「ゆぴぴと出会えた街だし優しい人も居るからこの街は好きだよ…でも、俺は旅に出て色んな街を見てみたいんだ」
「…やっぱりか…」
「?」
「最初に会った時に言ってたじゃん"いつか旅に出たい"ってだからいつかはそういう話もされるんじゃないかなって思ってたの…」
「…じゃあ」
良いのか?って聞こうとした…が、出来なかった。
それは…とても悲しそうなでも、どことなく怒っているかのような雰囲気も感じる。
「私もフウタとこの街で会えたこととっても嬉しいよ…だからこの街で何時までも一緒に居たいって思ってる…だけど、フウタが今は何よりも大切だし大好きだから私も連れて行って欲しいの」
服の裾を握りしめゆぴぴは言った。
「俺もゆぴぴについてきて欲しいと思ってたんだ」
「!」
「ゆぴぴ…俺と一緒に旅をしてくれませんか?」
「はい!喜んでっ♡」
それから数日後。俺は荷物を纏め、マーベスさんには見つからないようにと思っていたのだが、ギルドの受付嬢にマーベスさんがお呼びになっていると呼び出されこっそり遠出旅は一旦延期となった。
マーベスさんの元へ向かうと今晩魔王とお食事会に呼ばれたので護衛をして欲しいとの事だった。
やだよ面倒だと思いながら断るのも面倒だと思い渋々依頼を受ける事にした。
「はぁ…」
「フウタ…また今度、駆け落ちしよ」
「駆け落ちって…旅に出るだけだぞ」
「分かってるって〜でも、いつかは私のこと好きになってるかもじゃん?」
「…」
確かにゆぴぴは可愛いと思うし守りたいとも思うがこれは女の子だからであって決して好きだからと言う訳では無いんだが今は黙っておこう…うん。
「フウタ〜?」
「…ん?どうした?」
「黙り込んでたから。ねぇ、今は私のことどう思ってるの?」
「…なぁ、いつ行こうか?」
「はぐらかさないの!」
額を掴まれ顔を押さえられる。
「可愛いと思うそれだけだ」
俺の額を押さえつけていた手が離れる。
若干ゆぴぴの頬が赤くなった気がした。
「…っじゃあ、今度はメロメロにさせるから覚悟してね?フウタ」
「はいはい」
そして夜
「こんばんはマーベスさん」
「あぁ、来たかフウタ君。じゃあ、行こうか」
「はい」
そして俺とマーベスさんは魔王城へと向かった。
中へと通された俺達は魔王と対面する。
魔王は開口一番に口を開くと
「お待ちしておりましたぞマーベス氏」
とニヤニヤしながら言った。
「お待たせしてしまって済まなかったな、マグタス」
「いやいやこういうのには慣れてますし気にしないでも大丈夫ですぞ?」
「本当にすまなかった…許してくれ楽しい食事にしようじゃないか」
「そうですなぁ、では早速…」
そう言って魔王マグダスは両手を叩き家来を呼んだ。
「持って来てくれ」
「かしこまりました」
家来が食事を持って来る。
「所で…今日のお食事は力を入れて仕上げててなぁシェフの自信作なんだ…どうだ?美味いだろう?」
パクっと一口マーベスさんが食べる。
「ん!美味い!」
「ふふん、どうです?そこの彼も」
魔王マグダスがにこにこと俺を見る…が。
これ、怪しくないか?と鑑定技術を選択する。
すると
「んぐっ!?」
「マーベス氏!?」
「マーベスさん!」
確認するよりも先にマーベスさんは毒に引っかかった。
「マグダスさん、貴方…」
「ふっ…バレておったか…まあ良い今日のメインはこの通りだからな」
「…どうして」
「?」
「どうして仲良く出来ないんです?」
「あいつだって我の事信用してなかった…だから護衛を連れて来た仲良くなど出来る訳が無い」
「…」
ご最もだ。俺がマグダスさんの立場でもそう思ってしまうだろう。
だが…
「していい事と悪い事があるのでは?」
俺は怒りを抑えマーベスさんを抱えて帰ろうとマグダスに背を向けた。
「先に悪事を働いたのはマーベスだ俺は悪くないし正直今でも憎んでいる」
一体マグダスはマーベスさんに何を奪われたのかと気になってこれだけでも聞こうと後ろを振り返ったその時…
グッと身体が動かなくなる。
「な…」
倒れた時に上から女の子が覗き込んで来た。
「よくも…平気な顔で居られるわね…」
ギロッと睨まれるがこっちは何も知らないし身体も動かせないのでどうしようも出来ずにただ時が過ぎて行った。
「何とか言ったらどうなの?」
「リリン、そいつは喋れやしない」
「え…?」
「言ったじゃないか全身を拘置すると」
「…口は除外されるのかと思ってました。所で魔王様コイツはどうされますか?」
「そうだなぁ、地下にでもマーベスと一緒に放り込んでやれ」
「かしこまりました…!」
リリンと呼ばれた女の動きが一瞬止まり瞳孔が大きくなる。
「何故…!?」
「私の彼なんで監視は当然でしょっ!」
ゆぴぴさんサラッと怖い事を言う〜
「ぐぁっ」
「ガード」
魔王マグダスが防御の魔法を掛けるが…
「解除」
すぐさま魔法を解かれる。
ゆぴぴがリリンを押さえながら2人に麻痺の魔法を掛ける。
「ゆぴぴさん…」
「んもぅ!強いんだからちゃんとしてよー」
「ごめんってゆぴぴ」
「じゃ、帰ろうか♡」
そう言ってゆぴぴは俺に解除の魔法をマーベスさんには解毒の魔法を掛けた。
「ありがとう、そうだね」
「ありがとうゆぴぴさん」
「どういたしまして」
ゆぴぴさんマーベスさんに対してめっちゃ怒っていらっしゃる…
「フウタ…」
「うん?」
「居なくなっちゃうかと思ったじゃん…」
瞳をうるわせて二の腕にしがみつく。
「でも俺ゆぴぴのお陰で生きてるよ。だからありがとう」
「うん…っ!でも、帰ったら可愛いお洋服買ってね!」
「はいはい…分かりました」
ギルドに帰ってマーベスさんを自室に送り俺達は最寄りの宿へ寄る。
「ね、私も今日はフウタと泊まりたい」
まさか…そういう行為をするつもりじゃ…
「ゆぴぴさん、一人の方が落ち着けるよ?」
「でも今日は一緒に居たい」
「…」
とても不安な気持ちにさせたんだろうか今日はやたらくっつくし甘えん坊な気がする。
「分かった」
ぱぁっと表情が明るくなりウキウキといった感じで宿の受け付けを済ませ会計をし、部屋へとたどり着いた。
「今日は疲れたな」
俺がベッドに座ると思わず疲れが溢れた。
「そうだね。先にお風呂行く?ご飯にする?」
「お風呂に行くよゆぴぴは?」
「じゃあ私ご飯買いに行くよ何が食べたい?」
「じゃあ…グラタンで」
「分かった♡じゃ、いってくるね〜」
パタンと扉が閉まり俺も風呂に行くことにした。
しばらくしてゆぴぴも俺も風呂を済ませ2人でご飯を食べていると
「私…強くなりたい」
「いきなりどうしたの?」
「私も強くなってフウタを守りたいの」
「強くなりたいってゆぴぴはもう強いじゃん」
「魔法も武術もどっちも強くなりたいの偏ってたせいでフウタ〜守れないのは嫌だ」
「ゆぴぴ…」
「だから武術を教えて欲しいの…ダメ?」
「分かったいいよ」
「ありがとう!」
「でも」
「え?」
「俺にも魔法を教えて欲しいんだ俺もゆぴぴが居なかったら今日は危なかっただから」
「勿論だよ!」
「ありがとう」
強くなれたって思っていた。でも、自分に自惚れてただけだった。
これから強くなろうそしてゆぴぴを守ろうと誓ったのだった。