「なぁ、アイツまた告白されたらしいぜ」


「いいよなぁー何で俺らは告白されないのに。アイツとは何が違うんだろうな?」


最初は憧れと敵対心だった。


友達よりも先に彼女が欲しい


僕はおばあちゃんに絶対に行くなと念を押された神社に行き、神様にお気に入りのアクセサリーを神様に渡した。


そして翌日僕はちょっと可愛いなと思っていた子に告白された。


即OKした。


友達が悔しがる姿を見て僕は勝ち誇ったような気持ちでいた。



数年後、僕は社会人となり、沢山の上司に散々こき使われているのが嫌になり、権力と引き換えに思いやりの心を渡した。


すると、うなぎ登りで出世し、遂には代表取締役にまで登り詰めた。

そんな時だった。会社の面接に来た女の子が僕の好みにド直球で僕は即彼女を採用し、神社へと駆け込み彼女の為に片脚を渡すことを神様に誓った。


翌日から彼女は会社で働くことになり、彼女から告白もされ、トントン拍子に話は進み遂には同棲まで始めた。



だが、そんな幸せは長くは続かず僕は交通事故に巻き込まれ物理的に片脚を失った。



それからは出来る範囲の仕事はしつつ、彼女の支えに助けられながらもなんだかんだ幸せな日々を過ごしていた。




数十年後、彼女が僕よりも先に旅立ち



彼女を取り戻すべく、神社へ向かい神様に願う。



そして僕にはもう何も残されてはいなかったと思い知ることになる。



「お前さんそれは無理っしょ。神だからって何でもかんでもタダで叶う訳がねぇ」



神様には開口一番にそう言われた。



「どうしても彼女に…妻に会いたい」



「んーまぁ、出来ねぇことはねぇけどよ。お前さんの魂と引き換えに婆さんを生き返らすことになるけど、それでいいのかよ?お前さんが生まれ変わっても、婆さんとは再会も出来ねぇ人生になるぜ?」



「そんな…」



「やめるか?」



「あぁ…」



そうして僕は彼女の居ない家で独り、今日もお茶を啜っている。