「達也さんは今日は何処に?」


「今日はビジネスホテルにでも

泊まるよ」


「そう…」


「明日… 一緒に実家に行って

くれないかな」


「うん…」


「あのさ… アドレス…

教えて貰ってもいいかな?


待ち合わせする場所とかさ…」


「うん…」



私たちはアドレスを交換した。


胸が少しドキドキしていた。


「明日、多分昼前になるかも。


とにかく明日メールするよ」


私は頷いた。


達也さんは去って行った。


私は達也さんが

見えなくなるのを確認し、

病院へ戻った。




母は眠っていた。


私は母を見た。


まだ胸が少しドキドキしている。


何故、こんな気持ちに

なるのだろう。








「お母さん、見て見て!

綺麗な桜!」


私は桜の木を指差した。


「本当ね。ここの桜は一番綺麗ね」


「待って、お姉ちゃん!」


「紗英、遅いよ〜」


姉は私を置いて、走って行く。


私は必死に姉に着いて行く。



「あの子たちったら、

あんなにはしゃいで」


「君に似たんだよ。


君も僕と初めて桜を見に行った時、

すごくはしゃいでいたじゃないか」


「そんな事ないわよ」


「はしゃいでたって」


「はしゃいでいたのは、

あなたの方よ。


いきなり大声で、結婚してくれ〜

なんて言うんだもん。


恥ずかしかっわ」


「え?そうだったかなぁ」


父と母は楽しそうに話している。


私はそんな二人を呼んだ。


「お父さん、お母さん、

早く来てよ〜!」


「はいはい、今行くわよ!」




「ここに座ろうか」


母がシートを敷いた。


「お弁当!お弁当!」


私と姉はリズムに乗せ

言った。


「はいはい、じゃあ二人とも

一緒にお弁当出して」


「はーい!」



父はカメラ片手に私たちを

見ていた。