ロアールが正直に言おうとした時、部屋のドアが開く。

「彩羽ちゃん!話は聞いたよ!皆で探して、先生を助けよう!」

そう言いながら入ってきたのは、星彦である。後に続いて、彩羽のクラスメイトたちが入ってきた。

「……皆、どうして……」

ロアールがそれに驚くと、「皆が言うことを聞かなかったから連れてきた」とエドヴァルドが入ってくる。

「……ロアール。紫苑先生が消えた場所に、これが落ちていた」

エドヴァルドが見せたのは、簪。見覚えのある簪に、彩羽は「それって……」と目を見開いた。

「恐らく、紫苑先生のだろう。もしかしたら、財前くんのオリジナル魔法が役に立つかもしれない」

オリジナル魔法。名前の通り、自分にしか使えないオリジナルの魔法のことだ。

「俺の、ですか?」

「財前くんのオリジナル魔法は、物から記憶を読み取ることが出来る……だろ?その魔法で、何か情報を掴めれたらいいなと思った」

「……分かりました。俺、やってみます」

エドヴァルドの言葉に潤一郎は頷くと、エドヴァルドから簪を受け取った。



「……本当に、ここなんですね?」

魔法学校から少し離れた場所にある、古びた城を見上げ、彩羽は呟く。

「……ここみたいだ。建物の記憶を読んだところ、魔法使いたちがツキミ先生を連れて中に入っていくところが映っていた」