「……紫苑先生が教員室に来いとさ。それを伝えに来ただけだ」

伝言を伝え終わったエドヴァルドは、すぐに教室を出ていく。

(……先生が、私を……?一体、何の用事でしょうか……)

そのことを疑問に思いながら、彩羽は教員室へと向かった。

「……失礼します」

教員室の扉をノックし、彩羽は教員室へと入る。辺りを見渡し、彩羽は毎日見る姿を見つけ、近づいた。

「先生」

彩羽が声をかけたのは、彩羽と同居しているツキミだ。ツキミはこの魔法学校の教師で、彩羽のクラスの担任である。

「来たか、彩羽……今回お前を呼んだのは、これの件だ」

机の上に置かれた1枚の紙を手に取り、彩羽に渡した。彩羽はそれを受け取ると、紙を見る。

「……魔法学校、警備部隊……ですか?」

紙から顔を上げ、彩羽はツキミを見つめた。ツキミは、無言で頷く。

「……最近、この魔法界では魔獣が暴れ回っている。この近くでも魔獣に襲われたという報告が上がった。そこで警備部隊を結成して学校を守れ、と政府から言われてな。そのメンバーに、彩羽が選ばれたんだ」

魔獣とは、魔法界にしかいない、魔法を使うことの出来る生物のことだ。

ツキミの話では、魔法界で魔獣が暴れているという。そして、魔法学校を、生徒を魔獣から守るために警備部隊を結成することになったそうだ。