ご飯を食べ終えた彩羽は、準備しておいた鞄に弁当と飲み物を入れ、忘れ物がないか確認したあと、鞄を右肩にかける。

「……よし、今日も頑張りますか」

彩羽はそう呟いて、部屋に立てかけてある姿見の前に立った。姿見に左手を当て、彩羽は息を吸う。

「――」

彩羽の口から紡がれたのは、何語とも取れない不思議な言葉だった。彩羽の部屋に置かれている姿見は、直接魔法学校のある魔法界へと通じている。

魔法学校へと通じる扉開くための呪文は、魔法界の古代語となっているのだ。

魔法学校への扉を開き、彩羽は鏡を通った。彩羽の視界に大きな西洋風の建物が映る。

彩羽にとって見慣れた、もう一年以上は通う魔法学校の校舎だ。魔法学校の敷地内にある正面広場の真ん中にある、大きな鏡の前に、彩羽は立っていた。

「……」

少しの間校舎を見つめていた彩羽は、自分の教室へと向かう。

「おはようございます」

教室の扉を開け、彩羽は挨拶をした。

「彩羽~!おはよ~!」

「リア、おはようございます」

挨拶をした彩羽に話しかけたのは、腰辺りまで伸びた金髪に青い目の女性――リア・サイレーン。イギリスのロンドン出身のお嬢様である。

彩羽はリアと小さい頃に会っており、リアとは幼なじみという関係だ。