「先生の?何を言っているんですか?」

「知らないのも無理はないよな。教えてやる。こいつは、江戸時代から生きていてな――」

そう言い、魔女はペラペラとツキミについて話す。

江戸時代から生きていたツキミの異名は「奇跡の魔女」だったが、魔法家系の大半を殺害してから「殺戮の魔女」という異名に変わったこと、その罰として人魚の肉を食べさせられ、不老不死になったという。

「……本当は、お前を誘き寄せるために殺戮の魔女を攫ったが……お前の仲間に、私の仲間がやられてしまった。私一人じゃどうしようもない。お前を始末したかったが、今回は諦めよう。では、またどこかで」

そう言い、魔女は消えていった。

「先生!!」

すぐにツキミの元へと駆け寄り、彩羽は歌う。彩羽のオリジナル魔法の発動条件は、歌であるためだ。

彩羽が歌うと、ツキミの体に付いていた傷が塞がっていった。

「……彩羽……」

「先生、あの魔女の話は……嘘か本当かどっちですか?」

冷静にツキミに問いかけると、ツキミは「……本当の話だ」と言いながら体を起こす。

「…………彩羽には、ちゃんと話しておくべきだよな」

ツキミはそう言い、彩羽に自身の過去を打ち明けた。