建物の入口に手を当てていた潤一郎は、そう言ってくるりと皆の方を向く。

「……本当に、この中に入るんですの?嫌ですわ」

心花は、そう言って口元に開いた扇子を当てた。

「……何だかんだ言って、心花さんも着いてきているよね……」

寧々の言葉に、リアとクラリスは同時に頷く。

「俺、先に行ってツキミ先生の居場所を探してくる!」

アレッサンドロはそう言うと、オリジナル魔法を使って透明になり、こっそりと扉を開いて中に入っていった。

「……じゃあ、俺は幽霊に頼むか」

エドヴァルドがオリジナル魔法を展開すると、エドヴァルドの周りに、いくつかの紫色の火の玉が現れる。

「皆、無茶だけはするな。行くぞ」

エドヴァルドの言葉に、皆は同時に「おー!」と声を上げた。

そして、彩羽は両手を強く握りしめた。



「ツキミ先生っ!!」

城の中を走り回り、クラスメイトや先生、幽霊の力を借りて、ツキミのいる場所までやって来た彩羽。

彩羽は、思い切りドアを開けて叫ぶ。

「……彩羽?」

部屋にはツキミと1人の魔女がいた。ツキミは、ボロボロになり、横たわっている。

「ん?お前が、殺戮の魔女の……」

彩羽の存在に気づいた魔女が、そう言いながら彩羽の方を向く。

「……殺戮の、魔女……?」

彩羽が首を傾げると、魔女は「殺戮の魔女。こいつの異名だ」と不敵に笑った。ツキミの表情が、暗いものに変わる。