上野家の夕食……。
 帰宅後、一言も話さず黙々と
夕食を食べる夏……
 
 夏の様子を見た両親は互いに顔を
見合わせる。
 
 「夏、おかわりは?」
 「いい……」
 「夏、お父さんのおかず食べるか?」
 「いらない……でも、ハンバーグだけ食べる」
 そう言うと、夏は父親のお皿に盛られた
ハンバーグにグサッと箸を突き刺した。

 もぐもぐと、無言で口を動かす夏……
 パシッと箸を置くと、
 椅子から立ち上がる……。

 驚く両親に夏は……、
 「ちょっと、行って来る……」
 と言うと、廊下を歩き玄関でサンダルを履くと
ドアを開けて出掛けて行った。