翌日の朝……
 いつもの時間に玄関のドアを開けた夏。
 「行ってきま~す」
 母親に元気よく伝えると、外に出た。

 お向かいの玄関のドアも開き、
中からは葉山と矢上が出て来ると、

 「おはよう夏……」
 葉山が優しく微笑んだ。
 「先生、おはようございます」
 夏も微笑むと、葉山の後ろにいる
矢上に視線を送った。

 「よ~、おはよう……さん」
 いつもと様子が少しだけちがう矢上。
 「あ、おは……ようございます」
 夏も少しだけ言葉を和らげる。

 三人は、いつもの通学路を歩き始めた。
 
 「夏~、おはよう、先日はお世話になりました」
 ひとみが駆け寄って来た。
 すぐに、恭介が二人に合流する。

 夏は葉山と矢上の前を歩く
夏、ひとみ、恭介の三人……。

 「一昨日、大丈夫だった?」
 ひとみが夏に聞いた。
 「あ~、うんなんとかね」
 「うっそ、超怖がりの夏が
あの雨風雷に加え停電の中
一人で過ごせたのかよ……
ある意味、奇跡だよな」
 と恭介が言った。

 「大丈夫~だったから……」
 少し焦った口調になる夏……
 「ちぇ~、俺なんか夏が恭介助けて~
って言ってくるのを待ってたのにさ」
 口を尖らせる恭介……。

 「恭介~、残念だったね~」
 ひとみが恭介の顔を覗き込んだ。

 「へぇ~、上野さんって……
超怖がりだったんだ……」
 後ろを歩いていた矢上が呟いた。
 彼の声を聞いた夏がくるっと
後ろを向くと……

 「ははは、そうなんですよ。矢上先生」
 と苦笑いをした。

 今日も、夏の楽しい……?
学校生活が始まる……。