夜も更け、お腹もいっぱい、
喋り疲れた三人……。 
 片付けを済ませると、順番にお風呂に
入る……。
 ジャンケンをして、ひとみ、恭介、夏の
順番になると、ひとみが浴室に歩いて
言った。

 リビングに恭介と二人きりになった夏。
ソファーに座り、テレビの画面に視線を
送る。
 すると、恭介が夏の前に立ち、照れくさそうに
頭を掻きながら、
 「えっと……夏、あの……俺さ、やっぱり」
 と呟いた。
 「恭介、どうしたの?」
 夏が尋ねると、
 「俺、やっぱり夏のことが好きだ。あ、でも
いいんだよ。今のままで……本当は嫌だけど。
 ほら、この前はその……電話でさ……
勢いで告白しちゃったからさ。ちゃんと、
夏の前で気持ち伝えたくて……」
 真剣な眼差しの恭介に夏は……
 「恭介……ありがとう。私もちゃんとお礼言って
なかったな~って。今頃気づくなんて。でも……」
 俯いた夏を見た恭介は、
 「他に誰かいるの……気になるヤツとか、好きなヤツとか」
 彼の言葉に夏は静かに頷いた。

 「そうか……じゃあ、仕方ないか。
 でも、俺は夏のこと諦めないからな。
 相手が誰であれ、俺は夏の一番仲良しの
幼馴染だから! 
こうやって……
お泊り会にも参加できるんだしよ」

 「ごめん……恭介」
 「気にするなって!」
 恭介が夏の頭にそっと手を置いた。

 「あ~、シャワー気持ちよかった。
恭介君、どうぞ~」
 頭から湯気が立つ、お風呂上がりのひとみが
リビングに入ってきた。
 
 「あ~、俺、次ね……」
 と言うと恭介は浴室へと歩いて行った。


10分後、恭介が浴室から出てきた。
 「いや~、いいお湯だったぞ~」
 タオルを片手に話す恭介にひとみが、
 「ちょっと~、恭介君、早すぎない?
ちゃんと洗ったの?」
 「身体の隅々まで洗ってきたよ。
女子と違って男子の風呂は短いんだよ。
あ、それから、入浴後はちゃんと
お湯を流して泡も消してきました!」
 自慢気に話す恭介に夏も、
 「なにそれ~、当たり前じゃん」
 と笑顔を見せた。

 最後に夏が浴室に向かうと、
ひとみが恭介に話かけた。
 「だめだったね……」
 「なに、聞いてたの?」
 「あ、ごめん。偶然に……タイミング悪くてさ」
 「いいよ。今夜こうして、夏と過ごせるだけでも
いいよ。よくよく考えたらさ、つき合っちゃえば
こんなこと、無理じゃん。友達……幼馴染という
ことであれば、許される的な……
 だから、俺は当面そうするよ……」

 恭介が微笑んだ。

 「まったく、学校一のモテ男をフルなんて……
それにしても、夏の気になる相手って誰なんだろうね」
 ひとみが首を傾げた。