土曜日の朝が来た……。
 カーテンを開けて空を見上げる夏。
 うす暗い空には、雨雲が立ち込め、
今すぐにでも雨が降り出しそうであった。

 「今日は雨か……」
 そう呟いた夏は、部屋を出て一階の
リビングに向かった。
 リビングに入ると、冷蔵庫から牛乳を
取り出しコップに注ぐ。
 
 ソファーに座りテレビのリモコンを取り、
リモコンボタンを押して朝の情報番組を見始めた。

 ピコン……。
 母親からのライン……
 そっちはどうですか? 
 こっちはとても楽しい旅行です!

 それは、なによりです。
 楽しんでね。
 と返信する夏。

 ピコン……。
 今度は、ひとみからのライン……
 夏~、今日は天気予報雨だよ。
 でも、夏の自宅だからいいか。
 楽しみ……。

 やっぱり降りそうだね。
 
 空、物凄く暗いもんね。
 朝なのに。

 じゃあ、買い出ししとくね。
 よろしくね! ひとみちゃん。

 ピコン……。
 最後は啓介からのラインだ。

 夏、おはよう。 じゃあ、夕方!
 うん。

 なんとも短い会話……。

 一通り、ラインのチェックを終えた夏は、
ソファーから立ち上がると、窓際に歩いて行った。
 窓際から見える葉山の家のカーテンは、
全て閉まっていた。

 「まだ、寝てるのか……」
 夏はそう呟くと、向きを変えると、
キッチンに置いてある二日目の
カレーの鍋を温め始めた。