「だから~、わかった? 登下校中、
学校では、私のこと呼び捨てにしないこと!
学校以外でも呼び捨てにしないで! いい?」

 翌日は、土曜日……。
 部活のため学校に向かう道のりで夏が矢上に
言った。
 「ふぇ~い。わかりましたぁ~」
 不貞腐れて歩く矢上……。
 「もう、ちゃんと聞いてよね!」
 語気を荒げる夏……。

 「夏~、そんなに目くじら立てるな。
可愛い顔が台無しだよ」
 一緒に歩く葉山が夏を優しく諭す。
 「でも……」
 「そうだよ。夏、可愛い顔が台無しだよ~」
 矢上がニタっと笑うと、走り出した。
 「もう! だから、呼び捨てしないで~」
 そう言うと、夏は矢上を追いかけ、
走り出した……。

 「やれ、やれ……困りましたね」
 葉山は溜息をつくと、夏と矢上を
追いかけ、歩いていく……。