部活を終えた夏は、正門で待つ
恭介のもとに歩いて来た。
 「ごめん、待った?」
 「いいや、俺も今来たとこだから」
 「そう……」
 「あ、あのさ、昨日の夜に言ったこと
なんだけど……」
 「うん……」

 「あれは……えっと、本当のことなのは、
そうなんだけど……あれ? 日本語おかしい?」
 「うん……結構」
  夏が笑った。

 「えっと……だな、その、夏を好きな気持ちは
本当なんだ……。でも、そのことで夏と
ギクシャクはしたくない……だから、その、
夏はそのままでいいから……ただ、俺の気持ち
だけは知っててほしい……。っていうか」
 恭介が立ち止まり、頭を掻きむしる……。
 そんな、恭介の姿を見た夏は、
 
 「恭介、ありがとう。じゃあ、今まで通りの
仲良し幼馴染で……」
 と満面の笑みで恭介に返事をした。

 「え……? 仲良し幼馴染で……って、
どういうこと?」
 「だから、一番仲良しって意味だよ」
 無邪気に微笑む夏を見た恭介は、
 はぁ~と溜息をつき下を向いたが、
すぐに上を向くと、キラキラとした
モテ顔で、
 「はい、はい、わかりました。
一番の仲良しね……。まぁ、それでよしと
するよ……」
 「うん。恭介、今度、勉強教えて……」
 「仕方ないな~。俺は厳しいぞ!」
 「は~い」

 夕暮れの通学路を歩く夏と、
幼馴染で一番仲良しの、学校一のモテ男
恭介……。

 いつか、夏の気持ちを俺の方へ向けて
やる……。
 梶本恭介 17歳は熱く心に誓ったのだった。