友と悠が撮影現場を見学した日から
一週間後の早朝、

 「やった~。できた」と悠が言うと
天井を見上げた。
 「ふ~、なんとか間に合ったな」 
 と友が安堵する。

 「おい! おまえら起きろ。曲 完成したぞ」
 と悠は、ソファーで寝落ちしている
心、良、翼を起こした。

 目を擦りながら、
 「友……悠……お疲れ様」と翼が言った。

 心と良も起き上がると、
 「二人ともお疲れ様でした」と呟いた。

 新曲の音源を聴く五人、
 「なんか、いいんじゃない?」
 と翼が言った。

 「短期間で凄いじゃん……」心が感心する。

 「しっとりとしたラブソングだね」
 良がうっとりとする。

 三人の様子を見た友と悠。
 顔を見合わせ満足そうに微笑んだ。

 「この曲さ、作詞はどっちが書いたの?」
 と翼が聞いた。

 「今回は、作詞作曲は悠。俺が編曲した」
 と友が言った。

 「ふ~ん、この歌詞刺さるな~って」
 翼が言った。

 「え、どこ? どこ?」と心が聞く。

  翼は、歌詞が書いてある紙を見せ、
 「ほら、こことか、
 『僕がここに来たのは、君の瞳を見たかったから。
 君の瞳で僕を見つめてほしかったから』
いいよね~、ぐっときたよ。流石、悠だね」
 と言った。

 「今回は、ラブソングだったから……」
 と悠が呟いた。


 「映画の主題歌にぴったりだ」
 と良が言った。

 友と悠は、早速関係機関に新曲を聴いてもらい、
レコーディングの調整をした。


 こうして、唯と季里矢の初主演映画
『夏の終わりに……』の『RAIN』が歌う
主題歌、『夏の雨……』が完成した。