平日の朝、人がまばらの映画館。
帽子を被りメガネをかけマスク姿の男性。

 スクリーンいっぱいに映し出される
『RAINの悠』と『YUI』。

 エンドロールが流れ始めた頃、
『RAINの悠』が書き下ろした曲
『Last Love』が流れ出した。

 男性は、スクリーンに映る『悠とYUI』の姿を見て
小さく頷いていた。

 館内の照明が少し明るくなりかけた頃
観客が次々に出入り口に向かって歩いていく。

 男性が席を立とうした時に見えたもの、
『フワフワのわたあめのような
 アフロもどきの頭』の人物。
 男性はクスッと笑うとその人物に声をかけた。

 「キヌコさん……何で、一人で来てるんだよ」

 「ひゃっ……悠さん」
 いきなり声を変えられ驚いたその人物、
『キヌコ仕様の唯』。

 呆れ顔の人気俳優『RAINの悠』は、
 「も~行くよ」と言うと唯の手を引き映画館を
出て行った。