コンコンコン……。
 「YUIさん、そろそろ時間です」
 と楽屋にスタッフが唯を呼びに来た。

 カチャ……。
 ドアが開き唯が部屋から出て来ると
 「よろしくお願いします」
 と言いうとスタッフの前を通り過ぎスタジオに歩いて
行く。
 「朝とは、全然違う別人みたいだ」
 とスタッフが思った。

 廊下を歩くの後ろ姿は、朝とは違い別人のように自信に満ち溢れ、迷い等無いそんな表情だった。

 「YUIさん、入られます」
 スタジオ内に緊張感が走る。
 朝とは異なるスタジオ内に組まれたセット、
 セットの中央に置かれたベット、その端に俯いて
座る悠。

 唯が悠の前に歩いて来た。
 悠が顔を上げ、目の前に立つ唯を見上げると
優しく微笑んだ。

 辺りを優しい心地よい空気が包む。
 スタジオ内にいる誰もがそう思った瞬間、

「ここからが、本番だ……」
 と伊藤が厳しい表情で呟いた。