スタジオ内に入って来た悠、
 「友、どうした?」と声をかける。
 「はぁ~」と大きな溜息をつく友。

 翼が悠に近づき友の方を見ると、
 「友……ショックみたいなんだ」
 「何がだよ?」と悠が翼に聞いた。
 「ほら、これ」と翼が週刊誌を見せた。

 翼が見せた週刊誌、
 『例の悠と季里也の記事』、
 「これが?」と悠が翼の顔を見る。
 
 「そうなんだよ。俺等
友がYUIちゃんのファンって冗談だって思って
たんだけど、どうやら友のヤツ、 『ガチ恋』だった
みたい。
 で、この週刊誌の記事と写真見てあの状態に
なってるってわけ」
  
 「俺等最初は、面白がって見てたんだけど。
 友、元気なくてさ」
 と良と心も心配そうな顔を見せた。
  
 「友、ダンスリハ……始めるぞ」
 と悠が言った。
 
 「悠~、俺もうだめだ。季里也に聞いても、
何も答えてくれないし……」
  
 「そりゃそうだろ」と悠が呟く。
 「俺、泣きたいよ~」とすねる友。
  
 「泣きたいのはこっちだよ。
季里也といい、友、おまえまで」
 と呟く悠。
  
 「え? 悠、何か言ったか?」
  
 「いや、何でもないよ。
 とにかく、友、リハ、やるぞ。
 ほら、立てよ……」
 と落ち込む友の腕を引き上げ椅子から立たせる悠。

 「翼……音出して」と悠が声をかけると、
スタジオ内に大音量の音楽が流れる。
 軽快なダンスナンバーが流れ、
『RAIN』のダンスリハが始まる。

 軽快なステップと激しく踊る
友・心・翼・良・そして悠。

 夏を知らせるかのような粋なダンスナンバー…… 『RAIN』の五人が輝く夏がすぐそこまで来ていた。