社長室に残された悠に雅が言った。

 「悪く思わないでね。
 多分だけど、唯はあなたに『恋』してるのかも
って思って……」

 「そんなことはないですよ。
 さっき彼女もそう言ってたでしょ?」
 と悠が雅の顔を見て微笑んだ。


 「じゃあ、約束してくれないかしら?
  唯に近づかないって」
  と少し語気を強める雅。

「雅社長、約束しますよ。
 俺も、彼女にはこれからも輝き続けて
ほしいと願ってますから。
 俺、そろそろ行きます。
 下にマネージャ―待たせてるし」
 と言うと悠はソファーから立ち上がり
ドアに向かった。

 「悠君」雅が悠を呼び止めた。
 「何ですか?」振り返る悠。

 「最後に一つ聞きたいことがあるの。
 あなた、さっき唯とはデビュー前からの
知り合いって言ったわよね?
 もしかして、 『唯の背中を押してくれた』のは
あなたなの?」

  「さぁ、でも、もしそうなら?」
 
  「もし、そうなら、
  お礼を言わないと。
  唯をこの世界に導いてくれた人だから、
 今度の『RAIN』の新曲 素敵ね」

 「ありがとうございます」
 と言うと悠は部屋を出て行った。