ここは、某テレビ局の『RAIN』の控室、メンバーの翼(つばさ)が言った。
 「やっぱりこの子いいよな~」雑誌の表紙をメンバーに
見せると、
 「誰だよ?」と顔を上げるメンバーに翼がニコニコ
しながら、手に持った表紙をポンポンと叩きながら
 「YUIちゃんだよ、YUIちゃん」と言った。

 「あ~確かに、綺麗で可愛いよなっていうか爽やか
だよね」と良(りょう)が言った。
 「そうなんだよ~、この子さ」
 翼がリーダーの友(とも)の顔を見ると、
 「えっ えっ 何? 何?」と心(しん)が聞き
かえした。
 「このYUIちゃんさ、一年くらい前に撮影所にあの雅社長が連れて来た子で
その時はまだ事務所に入るかどうかみたいな感じだったんだけどまさかね、
こんなことになるならもう少し話しておけばよかったよ」と友が呟いた。

 「へ~珍しいじゃん、友がそんなこと言うなんて」と良が笑った。
 いつも冷静なグループのリーダー友の言葉を聞いた心も微笑んだ。
 「あの時、YUIちゃんに名前を聞いたんだよ。
 そしたらさ、YUIちゃん、苗字しか言わないんだ
珍しいな~ってだから覚えてるんだよ」
 と翼が言った。

 「それだけか~?」と心と良が聞く。

 「ま~、それは……珍しく、友が
気に入ってたな~ってくらいかな?」
 と翼が付け加える。

「ば ばか、翼 何言ってるんだよ」
 と慌てる友。

 翼 心 良 の三人から冷やかされる
リーダーの友。

 「ふ~ん、翼も友もYUIちゃんのこと気にいってるんだ
と悠が言った。

「ああ、いつか共演したいな~って友は思ってるん
だよね」
 と翼がにやける。

 「それって、友の『推し』じゃん」と呆れ顔の良。

 「いいじゃん。何とでも言えよ」
 と口を尖らす友。

 超人気グループ『RAIN』のリーダーが『YUI』のファンであることがわかったメンバー翼 心 良 悠の四人。

 目をキラキラして、雑誌を見つめるリーダーを見て呆れる四人だった。

 「俺が一番、推してるのに……」と呟く悠。

 「悠、何か言ったか?」と翼が聞いた。

 「何でもね~よ」
 と言うと悠は控室から出て行った。