シャーシャーシャーとフライパンで
食材を炒める音がする。

 キッチンに立って料理をする唯、
手慣れて手つきで冷蔵庫から
食材を取り出すと、次々に調理を始める。

 それを、カウンター越しから見ている悠。

 「何ですか?」と唯が聞いた。

 「なんかさ、キヌコさんがキッチンに
立つ姿とか懐かしくて」

 「そうですか? あんまりっていうか
ほとんだその様子見たことないのに?」

「そうだけど。多分こんな感じなんだろうな~って
いつも想像してたから」

 「ふふふ。そうなんですね、
 私も、懐かしいです。悠さんの部屋でお料理するの。
 少し前までは、この部屋で働いてたのに。
 でも、最近では料理するのが物凄く息抜きに
なるんですよ」
 
 懐かしそうな顔をする唯。

 「あ……そうだキヌコさん、あれ、作ってよ」
 悠が言った。

 唯は、ニコッと笑うと頷いた。

 テーブルに並べられた、チャーハンとお味噌汁
そして、悠のリクエストの『だし巻き卵』
二人は、手を合わせると、

 「いただきます~」と言って食べ始めた。