ひと思いに言い切って深く息を吐く。 少しの沈黙の後、ドア越しに小さな嗚咽が聞こえる。 声を押し殺して聞こえないように泣いている。 どうやら近くで聞いてくれていたらしい。 俺は美奈が何か言ってくれるのを待つことにした。 どのくらい経っただろう。 もしかしたら一瞬なのかもしれない。 静寂の中、ドア越しの声に耳を澄ます時間はとても長く感じた。