突然ビャクが、私が思い描いた物を作り出せる、具現化魔法という話を始めた。
例えばだけど、ここでヘリコプターとか車とかを頭の中で描いたら、出してくれるのだろうか。
「アリスが強く思い描いてくれたものを、ボクの力で具現化する魔法だよ」
「す、凄い! どんな物でも出せるの?」
「金属ならね。白虎は金属を得意とする神獣なんだー」
あ、金属だけかぁ。じゃあ、車は無理かも。
ヘリコプターは……ガラスとかが無理なのかな?
ひとまず、今必要な包丁を思い描いてみる。
我が家に……日本の家にあった、持ち手もステンレス製の包丁だ。
研いだりした事もない、お手頃価格の包丁だけど、軽くて使い易かったんだよね。
「この少し大きなナイフだね? いくよー! えーいっ!」
ビャクの掛け声と共に、よく見覚えのある包丁が目の前に現れ、浮かんでいる。
手を伸ばして握ってみると、完全にうちの包丁だ。
どうやら、今の……五歳の姿で想像しているからか、家の包丁がアリスのサイズで具現化されたらしい。
いやでも、この方が逆に凄い気がする。
日本人の……成人の時の持った感じとか、使い勝手まで再現してくれているんだもん。
「ビャク、凄いよ! 私が使っていた包丁、そのままだよ」
「アリスのイメージが強い方が、より詳しく再現されるんだー。だから、アリスがあまり知らない物を思い描いちゃうと、変な物が出来ちゃう事もあるけどね」
なるほど。じゃあ、さっきのヘリコプターとかは絶対にダメかな。
テレビでしか見た事が無くて、乗った事すらないし、エンジンとかプロペラがどうなっているとか、全然知らないもん。
という訳で、現在日本の移動手段は諦めて、次は私が土魔法で平らな石板を出すと、魚をササッと三枚におろしていく。
「わぁ! アリス、上手だねー!」
「えへへ。お料理は好きなんだー」
ふっふっふ。少ない給料で温泉に行く為に、節約術の一つとしてメチャクチャ自炊していたからね。
ご飯もお菓子も自分で作れば、半額以下……という訳で、それなりに料理は出来るんだから。
ビャクが持ってきたピンク色の身のお魚を切り、半身をバスケットに入れ、さっきと同じ様に蒸気で蒸す。
少し待ち、しっかり火が通ったお魚をビャクといただく。
「……わぁっ! 鮭だ! 鮭の味だ!」
「魚の名前は知らないけど、アリスが喜んでくれて良かったよー」
「うん! すっごく美味しかったー! ビャク、ありがとう!」
残りの半分は異空間収納に入れておいたので、またどこかでビャクと一緒に食べようと思いつつ、後始末を済ませる。
ここに私が居た痕跡を残さずに、再び街道を進んで行く。
村に到着するのは夕方くらいという話だったので、のんびり行こうと思っていると……
「アリス! 後ろから何かがやって来る!」
「えっ!? もしかして、公爵の追手!?」
「わからないけど、魔力の波長的に人間だよ!」
ビャクが後ろから人がやってくると言う。
幸い周囲は森なので、簡単に隠れられる。
……そう思っていたんだけど、隠れないと! と、焦ってしまったが故に、何でもないところで転んでしまった。
うぅ、五歳児の身体……小さな窪みでこけないでよ。
「アリス、急いでっ!」
慌てて起き上がり、何とか木の陰に隠れたんだけど……後ろからやって来た、とても大きな馬がすぐ傍で止まる。
「今、子供の姿が見えたんだけど……もしかして、捨て子!? 僕はイタリナの騎士、リーノ・カルヴィという。もしも、誰か居るのなら、姿を見せて欲しい。騎士団で責任をもって保護する」
また知らないキャラが出てきた。
小説の舞台である公爵の屋敷から逃げ出したのだから、当然と言えば当然だけど、見つかった後にどうなるか予想が出来ない。
という訳で、木の陰で身を潜めていたんだけど、
「お嬢ちゃん。どうして出てきてくれなかったんだい? 僕の言葉はわかる?」
あっさり見つかり、金髪碧眼の若い騎士さんに抱きかかえられてしまった。
例えばだけど、ここでヘリコプターとか車とかを頭の中で描いたら、出してくれるのだろうか。
「アリスが強く思い描いてくれたものを、ボクの力で具現化する魔法だよ」
「す、凄い! どんな物でも出せるの?」
「金属ならね。白虎は金属を得意とする神獣なんだー」
あ、金属だけかぁ。じゃあ、車は無理かも。
ヘリコプターは……ガラスとかが無理なのかな?
ひとまず、今必要な包丁を思い描いてみる。
我が家に……日本の家にあった、持ち手もステンレス製の包丁だ。
研いだりした事もない、お手頃価格の包丁だけど、軽くて使い易かったんだよね。
「この少し大きなナイフだね? いくよー! えーいっ!」
ビャクの掛け声と共に、よく見覚えのある包丁が目の前に現れ、浮かんでいる。
手を伸ばして握ってみると、完全にうちの包丁だ。
どうやら、今の……五歳の姿で想像しているからか、家の包丁がアリスのサイズで具現化されたらしい。
いやでも、この方が逆に凄い気がする。
日本人の……成人の時の持った感じとか、使い勝手まで再現してくれているんだもん。
「ビャク、凄いよ! 私が使っていた包丁、そのままだよ」
「アリスのイメージが強い方が、より詳しく再現されるんだー。だから、アリスがあまり知らない物を思い描いちゃうと、変な物が出来ちゃう事もあるけどね」
なるほど。じゃあ、さっきのヘリコプターとかは絶対にダメかな。
テレビでしか見た事が無くて、乗った事すらないし、エンジンとかプロペラがどうなっているとか、全然知らないもん。
という訳で、現在日本の移動手段は諦めて、次は私が土魔法で平らな石板を出すと、魚をササッと三枚におろしていく。
「わぁ! アリス、上手だねー!」
「えへへ。お料理は好きなんだー」
ふっふっふ。少ない給料で温泉に行く為に、節約術の一つとしてメチャクチャ自炊していたからね。
ご飯もお菓子も自分で作れば、半額以下……という訳で、それなりに料理は出来るんだから。
ビャクが持ってきたピンク色の身のお魚を切り、半身をバスケットに入れ、さっきと同じ様に蒸気で蒸す。
少し待ち、しっかり火が通ったお魚をビャクといただく。
「……わぁっ! 鮭だ! 鮭の味だ!」
「魚の名前は知らないけど、アリスが喜んでくれて良かったよー」
「うん! すっごく美味しかったー! ビャク、ありがとう!」
残りの半分は異空間収納に入れておいたので、またどこかでビャクと一緒に食べようと思いつつ、後始末を済ませる。
ここに私が居た痕跡を残さずに、再び街道を進んで行く。
村に到着するのは夕方くらいという話だったので、のんびり行こうと思っていると……
「アリス! 後ろから何かがやって来る!」
「えっ!? もしかして、公爵の追手!?」
「わからないけど、魔力の波長的に人間だよ!」
ビャクが後ろから人がやってくると言う。
幸い周囲は森なので、簡単に隠れられる。
……そう思っていたんだけど、隠れないと! と、焦ってしまったが故に、何でもないところで転んでしまった。
うぅ、五歳児の身体……小さな窪みでこけないでよ。
「アリス、急いでっ!」
慌てて起き上がり、何とか木の陰に隠れたんだけど……後ろからやって来た、とても大きな馬がすぐ傍で止まる。
「今、子供の姿が見えたんだけど……もしかして、捨て子!? 僕はイタリナの騎士、リーノ・カルヴィという。もしも、誰か居るのなら、姿を見せて欲しい。騎士団で責任をもって保護する」
また知らないキャラが出てきた。
小説の舞台である公爵の屋敷から逃げ出したのだから、当然と言えば当然だけど、見つかった後にどうなるか予想が出来ない。
という訳で、木の陰で身を潜めていたんだけど、
「お嬢ちゃん。どうして出てきてくれなかったんだい? 僕の言葉はわかる?」
あっさり見つかり、金髪碧眼の若い騎士さんに抱きかかえられてしまった。