「どれだけお嬢様を振り回せばっ!」

リーリルが叫ぶように大きな声を上げた。

「落ち着いて、リーリル。今回のフリクの話に乗ったのは私なの。フリクは『一年間、沢山の人たちに好かれるように努力したら……この遊びに付き合ってくれるなら、私が一番会いたい人に会わせてくれる』と言ったわ」

以前話したことがあったので、リーリルは私が誰に会いたいと思っているのかを知っている。

「お嬢様……それでも、私はこんな遊びに付き合うべきではないと思います」

「分かっているわ。私も断るつもりだった。でも……私だって噂だけで嫌われたまま生きていくのは嫌なの。どうせいつかこの部屋を飛び出さなければいけなかった」

「そんなこと!私たち屋敷の者はお嬢様が急がずともお嬢様をお守りしますわ!」

「ふふ、ありがとう。私は本当に優しい者たちに囲まれているわ。でも、本当は私だって学園に通ってみたかった。屋敷の外に出てみたかった」

フリクに嫌われるように言われてから、私は学園の入学を遅らせた。

いや、正しくはもう入学手続きは済んでいたので、休学扱いとなっている。

そして私が王女であることも踏まえ、特別対応として家庭教師に屋敷まで来てもらい定期的に試験を受け、学園に提出することで在籍させてもらっていた。