「流行り病を止める力がある俺が、逆が出来ないと思う?」


「っ!?!? 約束が違いますわ!!」


「分かってるさ。それはしない。君の頑張りが無駄になる。それでも、次にこの国を助けたい時のために俺の機嫌は取っておいたほうが良いだろう? それにマリーナも嫌われたままは嫌だろうし」


フリクはニコッと笑った。



「味方が屋敷の者しかいない王女がどれだけ凄いのか俺に見せてよ。今度は噂なんて使わずにさ。ま、使ってもいいけど、次の噂を信じる者は少ないだろうね」

「だって、もう国一番の悪女になってるんだから」



「そんなことに付き合う義理が私にはないですわ」



「ああ、だから褒美をあげるよ。そうだな、この遊びに乗ってくれるなら……うん、一年限定でいい。最大限、好かれるように頑張ってみて。そうしたら、一年後に君が一番会いたい人に会わせてあげる」

「っ!?」

「君にとっては最高のプレゼントだろう?」

何故フリクが私の願いを知っているのかは分からない。

しかし、フリクは楽しそうにクスクスと笑っている。




「さぁ、嫌われ者の王女様。俺に奇跡を見せて?」




この部屋の外の……いや、この屋敷の外に広がっている景色を私はまだ知らない。




【国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されに行きます】