「お嬢様……!」




寮に戻ると、すぐにリーリルが駆け寄ってきてくれる。

「本当はずっと馬車でお嬢様を待っていようと思ったのですが、そういう訳にも行かず……!クロルから話を聞いた時に、自分に腹が立ちました」

リーリルが今にもこぼれ落ちそうな程、目に涙を溜めて私を見つめている。

「リーリルが気にすることは何もないわ。むしろ、私が謝りたいわ。リーリルが選んでくれたドレスも結ってくれた髪型も全てぐちゃぐちゃにしてしまった」

「そんなことは気にしなくて良いですわ。ところで、このドレスはどうしたのですか?」

「……クラヴィスが用意してくれていて……」

どこか恥ずかしくて、そう小さな声で呟いた私にリーリルが目を輝かせた。

「とてもお嬢様に似合っていますわ!」

リーリルはその後もクラヴィスはドレスを贈ってくれた話を楽しそうに聞いてくれた。

いつも通りの寮でのリーリルとの時間。

その時間を今日も過ごせていることが何より嬉しかった。