会場では皆、先ほどの出来事もあったのでもう直接的に攻撃する者はいなかった。

クラヴィスがエスコートしてくれたことも大きいだろう。

私のエスコートを終えたクラヴィスは、もう既に会場の真ん中で沢山の令嬢たちに囲まれている。

私との関わりを疑問に思う者も多かったが、元からのクラヴィスの人気の方が大きかったようだった。

壁際で一人でいる私にクロルがすぐに近づいてくる。

「マリーナ様……!先ほどは何も出来ず、申し訳ありません」

「大丈夫と合図を送ったのは私よ。むしろ、駆けつけようとしてくれて感謝しかないわ」

クロルが私のドレスに視線を落とした。