私は何が起きたのか実感が湧かないまま、着替えを済ませた。

私は着替えを済ませてクラヴィスの元へ向かうと、クラヴィスは会場に入る扉のすぐ横で待っていた。

そして、クラヴィスが私に手を差し出した。

「エスコートして下さるのですか?」

「エスコートがなかった先ほどの方がおかしいだろう」

「ふふ、そうですわね」

それでも、きっとクラヴィスが私をエスコートすれば、クラヴィスまで悪く言われてしまう。



「では、私に無理やり頼まれたと言って下さいね」



これくらい噂を利用することは許されるだろう。




「……」




「クラヴィス?」




「分かった。俺がエスコートしたかっただけだと伝えることにしよう」




「っ!?」




私が驚いている間に会場への扉は開いてしまう。

会場の(まばゆ)い光が私たちを照らしていた。