すると、リーリルはこう述べた。


「お嬢様、国民全てに嫌われることを目指すということは、敵がそれだけ増えるということです。その覚悟がお有りですか?」


「あるわ。その覚悟だけはある。私の身を滅ぼしてでも、この国の王女として私はユーキス国を守る義務があるわ」

「お嬢様、私に一つ案があります。しかし、これを教えるのは、お嬢様が自分の身も大切にすると保証した時だけです」

リーリルの優しさに、問いに、私はそっと頷いた。

リーリルは続ける。


「まず屋敷の者にはこの情報を共有します。この屋敷でお嬢様を大切に思っていない者はいません。そして、ユーキス国内では『噂』を流すのです。『マリーナ・サータディアは大悪女である』と。そして、嘘の悪行も」

「お嬢様の人格で国民に嫌われることは無理です。それに全ての国民に会いに行き、嫌われるなどお嬢様も分かっているでしょうが無謀です。ですから、噂で嫌ってもらいましょう」

「そして、もし噂を信じてお嬢様を攻撃にくる者がいれば、情報を共有している屋敷の者で守るのです」


「私のこんな突飛な話を屋敷の者は全員信じてくれるわけが……」


「信じます。それほどまでにお嬢様はこの屋敷で務めるものを大切にして下さった」


その言葉に涙が溢れたから、だから……次にフリクに何を言われるか想像もしなかった。

リーリルの言う通りにしたら、ユーキス国の病は(おさま)っていった。

私を嫌う者が増えれば増えるほど。