会場にいた者たちがまたザワザワとし始める。


「あの方は、クラヴィス・イージェル様でしょう?」

「何故、大悪女などを助けるの」


しかし、クラヴィスはそんなことを気にもせずに私の手を引いて会場の外に連れて行く。

会場を出た所で、私はクラヴィスを呼び止めた。

「ちょっと待って下さい……!」

クラヴィスが私の手を離さないまま、私の方を振り返る。

「どうした?」

「私を助けて良いのですか……! 今の私を助ければ、クラヴィスの言う通り貴方の評判まで下がってしまいますわ」

クラヴィスはすぐに答えなかった。