パーティ会場に入場した後は、学園と同じように皆が遠目にコソコソと私の噂を口にしていた。


エスコートすらなく会場に入場した私を笑っていた。


「王女のエスコートがないなど考えられる? どれだけ嫌われているの」

「悪女だから皆断るに決まっているわ。 よく恥ずかしげもなく来れるわね」

「頭がおかしいのではなくて」


嫌われ者の大悪女はエスコートがなくても、悪口だけで済む。

本当はクロルが伯爵家として届いた招待状を無視して、私のエスコートをすると名乗り出てくれた。

しかし、それでは火の粉がクロルに飛ぶことは目に見えていた。



「誰かあの王女を会場から追い出して欲しいくらいだわ」

「邪魔だもの」

「それにしても、言い返しても来ないなど気味が悪い。心の中で何を考えているのか」



ある意味、この会場での私への攻撃が悪口だけ済むのならば、正直有り難かった。