「お嬢様。実際に学園での生活を過ごしてみて、辛くはないですか?」

「リーリル……」

「クロルから聞いています。直接的に攻撃してくる者はいないが、聞こえるように悪口を言われるのは日常茶飯事だと」

リーリルが顔を(ひそ)めた。

「相手に聞こえるように悪口を言うなど、直接攻撃しているのと同じですわ! しかし、クロルが悪口を言う者を注意しようとしたら、お嬢様が毎回のように止めるのだとも聞いています」

私は鏡を向いていた身体をリーリルの方に向けるように振り返る。

「ねぇ、リーリル。攻撃を最大限防御……いや、やり返す時があったとする。どんな時が一番良いと思う?」

「……??」


「私はね、相手が一番力を入れている時にその攻撃をやり返せるのならば、それが最も効果的だと思うわ」


「しかし……!それでは、お嬢様の心が待ちません!」

「そうね。でも、私は思うの。『国一番の大悪女』と呼ばれると言うことは、それだけ私が国民に嫌われているということ。それだけ私がユーキス国の民を救ったと言うことだわ。それって、とても誇らしいことだと思わない?」

リーリルの目が少しだけ潤んだのが分かった。