その日の夜。

私は寮の自室で鏡台の前に座り、リーリルに髪を()かしてもらいながら、クラヴィスとの会話をリーリルに伝えた。

リーリルはその話を聞くと、嬉しそうに「クラヴィス様は見る目がありますね……!」と話している。

「あら、リーリル。そんなに簡単な話なのかしら?」

「お嬢様の噂を信じずに話してくれるだけで十分です。それでお嬢様は何と答えたのですか?」

「クラヴィスは『助けが欲しい時はいつでも言って』とだけ言ってテラスを出ていったわ。味方になってくれたのかはまだ分からないけれど……」

「お嬢様は魅力的ですもの。そのうちクラヴィス様もお嬢様の魅力に気が付きますわ。それに私がもっと気になるのは……」

リーリルが私の髪を()かしていた手を止めた。