ただ全ての手の内を明かしているとも思えなかったけれど。


「私と仲が良いとは思われたくないのに、隠れて距離を縮めたいなど随分と我儘ではないですか?」


私はわざと攻撃的な言葉を選んだ。

クラヴィスに警戒を(おこた)れば、危ないと思ったから。

しかし、その後に彼から飛び出した言葉は、予想外だった。




「ああ。だから、手伝うよ」





「え?」




「私が王女マリーナ・サータディアと仲が良いとはっきりと言えるほどに、君の評判をあげれば良い。協力する」





言葉をすぐに返せない私を気にもせず、クラヴィスはこう続けるのだ。





「案外、味方になった私は役に立つよ?」





クラヴィス・イージェルとの出会いは私のこれからの人生を大きく変えることになる。