そんな私の気持ちが伝わったのか、クラヴィスが少しだけ視線を下に落とした。


「マリーナからすれば、きっと私の行動……いや、初めに私がマリーナに話しかけた意味すら分からないだろう」


そして、クラヴィスは視線を下に落としたまま、淡々と話していく。


「まず昨日マリーナに話しかけたのは、君と令嬢たちの会話を聞いて、君に興味を持ったから。それだけ」

「そして、呼び捨てにして良いか聞いたのは【君が怒るか試したかった】のと【君と距離を縮めたかった】から」

「周りの者がいる前で、敬称をつけたのは【純粋に隣国の公爵家には礼儀がないと思われることが嫌だった】から。それに、【周りの者にマリーナ・サータディアと仲が良いと思われると、我が国に不利益をもたらす程に君の評判が悪い】から」


クラヴィスが下に向けていた視線を上げて、私を目を合わせる。

「どう? 疑問は解消出来た?」

クラヴィスが嘘をついているようには、見えなかった。